番外編:子どもができても先輩の愛はいろいろと重すぎる

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 そう思ったとき、私は一番問題だと思った最近の出来事を話しだした。 「SPだってさ3人でも多いのに、4人目、本場のSPって……多すぎませんか? 異色だしまた目立ちますよ。私のSPも入れたら7人ですよ?」 「みゆ、忘れたの? 一時期10人いたじゃん」 「そこを基準にされると困るんですけど……」  確かに一時期、私には10人のSPがいた。  健人さんは本当に意味が分からないように首を傾げる。私は息をついて話し出した。 「この前、公園でお友達と遊んでたとき……あかりが無理矢理誘って、SPの三人巻き込んだ鬼ごっこが始まったんです」 「まったくかわいいよね、あかりって」 (これ、微笑ましい話じゃないですけど……)  そう思いながら続ける。 「基本的にうちの事情知ってる人ばっかりだったから見慣れてるけど、たまたま通りがかった人がびっくりして通報しそうになったんですよ⁉ それ必死に止めました」  私が言うと、健人さんは少し戸惑ったような顔になる。  世間と自分の『普通』はズレてるって、そろそろ自覚してくれないと困る。  私は続けた。「仕方ないから全員私服にしてもらったら、次は『どなたが旦那さんですか』って聞かれるし」  まぁ、これはいいんだけど、と言おうとしたら、眉を寄せた健人さんは、 「それは困るね」 と低い声で言った。 「やっとわかってくれました⁉ じゃ、もうSPはナシで……」 「みゆが外でいちゃいちゃしたら怒るから遠慮してたけど、もっと俺が外でもくっついておかないとだめだね」  その決意したような声に、 「……ちがう」  私は思わずつぶやいた。
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