番外編:子どもができても先輩の愛はいろいろと重すぎる

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「……えぇっと」 「あかり産んでから、次はもう少しあけたいって、なかなか前向きになってくれないじゃん」 「それは……」  今、それを突かれると痛い。  私はあかりを出産してから、次の子が欲しいと言う健人さんにずっと待ったをかけているのだ。それには私なりに、いろいろと理由がある。 「いまどき一人でも普通じゃないですか? 私、もともと一人っ子だし……」 「また『普通』って言ってる」 「子育てが大変って言うのもあります。思ってた以上でした」  人一人育てるのは想像以上に大変だ。それは、子どもを産むまでわかっているようでわかっていなかった。  一つの命が家庭に増えるのは、喜ばしい反面、責任も負担ものしかかる。  健人さんは、 「でも、俺はそれを二人で経験できて良かったと思った。みゆの方の負担が大きかったと思うから無理は言えないけど」 と言う。  私はそれを聞いて首を横に振った。  もちろん私も大変だった。でも……。 「そういうことじゃないの」 「え?」  私は健人さんを見つめると、 「健人さん、無理してたでしょ。ずっと」 とはっきり言う。 「……どういう意味?」
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