番外編:子どもができても先輩の愛はいろいろと重すぎる

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 恵まれた環境のクセに甘ったれの私は、何度も泣くあかりの夜中の授乳が辛くて泣いたことがある。そのとき、あかりは昼間でもほんとうによく泣いていて、その泣き声にイライラしたのも事実だ。  その時、健人さんは、『あかりが哺乳瓶でも飲めるようにしようよ。俺もさ、あかりにミルクあげてみたいしさ』と笑った。  色々な情報を見て、母乳が出るなら絶対に100%授乳しなきゃいけない、と思い悩んでいた私をいとも簡単に説得して、まだ煮え切らない私に、『お願い一回だけでもいいからあげてみたいんだよ』と何度も言ってきた。  あれが転換期となり、あかりはミルクも飲めるようになって、私以外の人があかりを見ておける時間も長くなった。そして私は眠るときはしっかりと眠れるようになった。  すると、不思議とあかりの泣き声に、イライラすることもなくなっていたのだ。  でも、あのとき、次に心配になったのは健人さんのことだった。  健人さんは、あかりのことも私のこともずっとフォローしてくれていた。 「健人さん、あかりが夜泣きひどかった時も、夜は見てくれて、休日もずっと見てくれてましたよね。仕事もあるのに……あの時、健人さんの身体も心配でした」  そう言う私に健人さんは少し悩んだ顔をして、それから優しい笑顔で笑う。 「でも俺が望んだんだよ? 大変だったけど、幸せだったし、できればもう一度体験したいって思う」 「……なんで」  するとリビングにある多くの家族写真に健人さんは目線を移した。 「あかり、みゆに似てるよね。俺にもちょっと似てる」  そう言って続けた。「俺たちさ、二人とも母親亡くしてるでしょ。俺は父とも長く一緒にいなかった。だからこうやって家族で、全員で過ごせるの、嬉しいんだ。それにあかりが他の家族もつないでくれて、前より俺自身、兄さんや父さんのこと大事な家族だって思えてる」
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