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ゆっくりと唇が重なる。
あ、やっぱりこの人のこと好きだなぁって思ったら、離れかけた唇に自分からキスをしていた。それを見て、健人さんが嬉しそうに笑って、私もまた微笑む。
―――幸せ。私も幸せだよ。これからもっと幸せになる気がしてる。
そう思ったとき、
「さっき一樹の家を出る時に、『今日はみゆとゆっくり愛し合いたいし、迎えが少し遅くなるかも』って言ったら、『あかりは泊まっていけばいいよ、そのために準備もしてるし、泊まっていってくれた方が嬉しいし』って言ってたよ? 二人とも」
と健人さんが言った。
その言葉の意味を一瞬飲み込めず、飲み込めたところで意味が分からず、やっと意味が分かったところで私は顔を青くした。
「ちょ、待って。二人って……まさか……」
とつぶやくと、
「一樹と父」
と当たり前のように健人さんが笑う。
「……え」
ちょ、待って……。
そういえば見送られた時、一樹さんとお義父さんに、『仲良くね』と言われたけど、あの意味が今、明確にわかった。
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