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「なんてこと言ってくれてんだぁあああああーーーー!」
「え? だって本当のことじゃん」
「そうでも!」
泣きそう! いや、泣いてる。
ありえない! どうしてこの人は、こんなにデリカシーがないのだろう。
「もう二人に顔が合わせられない……!」
「何言ってるの。大丈夫だって」
ふふ、と笑って健人さんが私を抱きしめる腕に力を籠める。
「久しぶりに朝までこうしてられるね」
「ちょっと待て。私、怒ってるの」
「怒ってても何してても、もう待たないよ」
そう言って、健人さんの唇が重なる。くちゅ、と舌が口内に当たり前のように差し入れられると、条件反射のように身体が熱くなった。
泣きそうになって目の前の健人さんを見つめると、健人さんは熱い瞳で私の目を捉えた。
「今日は朝までいっぱい愛を注がせてね」
そう言って、健人さんは心底嬉しそうな笑みを浮かべる。
そんな健人さんの顔を見て、私は諦めて重い愛を受け取る覚悟を決めた。
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