1章:最悪な再会とあの日の続き

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 父のやっぱり甘い卵焼きと、白米・納豆とともに朝食を食べ、残りのご飯は2つのお弁当箱に昨日のおかずとともに詰め込む。それでも残った分はラップに包んで冷凍庫に放り込んだ。これもまたいつも通り。 「みゆ。パパ、今日から数日は遅くなるから、気をつけてよ。戸締りもちゃんと……」 「大丈夫だって。いってきます」 「いってらっしゃい」  父に見送られ、6時40分のバスに乗って、30分揺られてから電車に乗りかえる。満員なのに、いつもと同じ顔ぶれが並ぶ車内は、窮屈だけど、どこか安心する。 電車は重そうに人々を乗せて、毎日同じようにそれぞれの目的地に運んでいた。  毎日同じことの繰り返し。 それってつまらないよね、と、いうように同期は少しずつ、ただ、確実に辞めていった。でも私は辞めなかった。つまらない日常だからと、それを辞める必要なんてない。  こういう平和で平凡な日常が大事なのだと、事故や事件にかかわる父は昔から口酸っぱくして言っていた。私もそれはそう思う。全面的に同意だ。
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