3章:重過ぎるプレゼントと二度目のキス

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 一回って言ったのに! 先輩の嘘吐き!  やっぱり、私は先輩なんて嫌いだ。今、それがはっきりわかった!  唇の端から飲み切れなくなった唾液が伝って、それも先輩は舐めとると、私を抱きしめ、私の頭を優しく撫でる。先ほどのキスの激しさとは違う、その柔らかな温かさに、なんだかまた泣きそうになる。 「先輩、これ以上は、もうだめ……。もうわかった。私、もう先輩とこういうこと、したくない。先輩のこと嫌い、大嫌い!」 「うん」  先輩は私と額を合わせるとクスリと楽しそうに笑って、 「でも、みゆ?」 と私の頬を優しく撫でる。「さっきから俺の服をずっと掴んだままだよ?」  え、そんなわけない、と思って自分の手の先を見ると、私の手は、先輩のスーツの背中部分を強く、強く、握りしめていた。
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