4章:あの事件ととんでもない告白

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 でもとにかく、これ以上、みんなに嫌われたくない。特に女の子に。  そんなこと別にいい、と言う人もいるかもしれない。でも、私には、この小さなコミュニティが何より大事で……。  クラスの友達、部活の先輩・後輩、そんな人間関係が何より大事だった。  私には母親がいない。父も忙しくて、いつも時間を持て余していた。その分、なんだか、そういう一つひとつの小さなコミュニティでいられる平凡な毎日を、心の底から大切にしていたのだ。  みんなの王子様は、良くも悪くも、みんなの王子様。  私は手出しをするつもりは一切ない。  顔を上げると、周りには、陸上部に『先輩目当てで入ってきた』部員たち、そして、部員ではない女子の目線と歓声が場を埋め尽くしていた。 「相変わらず、すごい歓声だなぁ……」  そう呟いて周りを見渡す。私は誰にも気づかれないように小さなため息をついた。
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