4章:あの事件ととんでもない告白

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 なのに部活の帰り道になると、最後の曲がり角から、羽柴先輩と二人きり。  私は先輩と歩いているといつも落ち着かなかった。距離をとるために離れて歩いていても狭い歩道の中では限界がある。 「地区までタイム抜けたの3年ばっかだよ。まさか1年のみゆが抜けるとは驚いたな」  先輩は笑いながら言った。  当たり前だよ、もともと私は先輩目当てで入ったんじゃないもん。  私はできるだけ低い声で、 「走るのだけは昔から得意なので」 と答える。優しく答えて、周りに誤解を受けても大変だからいつでも口調は冷たくなった。  なのに、先輩はいつもこんな言い方する私にも優しい。ついでに先輩は誰とでも距離が近いのもあまりよろしくない……。  女の子にもモテるし、実際にこれまで何人も付き合ってきてる、って知ってたから。
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