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その時、
「みゆ?」
と私を呼ぶ声が聞こえて、振り返ると、父がそこに立っていた。
私は驚いて、
「お父さん! 泊まり勤務じゃ……」
「このあたりで捜査があってな、ついでに少し寄ったんだけど……」
私と父になんとなく決まずい空気が流れる。
しかも私はこれまで、彼氏はおろか、男友達と一緒にいるところも見られたことなかったのだ。まぁ、そもそもそういう相手もいなかったからだけど。
そう思ったとき、父は、
「あれ、羽柴先生。いつもみゆがお世話になってます」
と笑った。
「な、なんで知って……」
「ん? 羽柴先生はパパの仕事の関係で、先生が弁護士になった頃から関りがあるよ。それに昔、みゆと同じ高校で陸上部の先輩だっただろ? よく送ってもらってたじゃん」
「なんで知ってんの!」
ちょっと待った、色々整理させてください!
そういえば、羽柴先生って弁護士だった! そして会社から、父の勤める警視庁も、羽柴先生の法律事務所も近かった! 確かに、二人が知り合いでも変じゃないけど……!
でも、父がなんで高校時代のことまで……⁉
私が顔を青くしていると、父は苦笑して、
「みゆ、そういうこと知られるの、昔からすごく嫌がるじゃん。だから言わないでいたんだよ」
と言う。
すごく嫌がるって……確かにそうだけど。
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