4章:あの事件ととんでもない告白

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 その時、 「みゆ?」 と私を呼ぶ声が聞こえて、振り返ると、父がそこに立っていた。  私は驚いて、 「お父さん! 泊まり勤務じゃ……」 「このあたりで捜査があってな、ついでに少し寄ったんだけど……」  私と父になんとなく決まずい空気が流れる。  しかも私はこれまで、彼氏はおろか、男友達と一緒にいるところも見られたことなかったのだ。まぁ、そもそもそういう相手もいなかったからだけど。  そう思ったとき、父は、 「あれ、羽柴先生。いつもみゆがお世話になってます」 と笑った。 「な、なんで知って……」 「ん? 羽柴先生はパパの仕事の関係で、先生が弁護士になった頃から関りがあるよ。それに昔、みゆと同じ高校で陸上部の先輩だっただろ? よく送ってもらってたじゃん」 「なんで知ってんの!」  ちょっと待った、色々整理させてください!  そういえば、羽柴先生って弁護士だった! そして会社から、父の勤める警視庁も、羽柴先生の法律事務所も近かった! 確かに、二人が知り合いでも変じゃないけど……!  でも、父がなんで高校時代のことまで……⁉  私が顔を青くしていると、父は苦笑して、 「みゆ、そういうこと知られるの、昔からすごく嫌がるじゃん。だから言わないでいたんだよ」 と言う。  すごく嫌がるって……確かにそうだけど。
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