5章:その手のぬくもり

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 私が選んでいたのは、法廷コメディ。今話題なのだ。  決して先輩を意識したわけではない。  見終わった後、外に出ると、外はもう暗くなっていた。スマホをつけると、父から、『少し遅くなりそうだから、羽柴先生によろしく』とメールが入っている。 (何をよろしくするんだ、なにを!)  そんなことを思っていると、 「面白かったね。コメディなのに法廷のシーンもなかなか迫力あった」 と、先輩が隣で笑う。  そういえば先輩は裁判には慣れているだろうと、 「ああいった事、実際にあるんですか?」 と聞いてみた。 「あんな風になることはまずないけど、でも、心情としてはきっとそうなんだろうなぁって思ったよ」  先輩は何かを思い出したように微笑む。その顔は、俳優が演じていたものより、何倍も弁護士に見えた。 「先輩って……やっぱり弁護士だったんですね」 「今までなんだと思ってたの?」 「うーん……なんでしょう」 「はは。そこで悩むんだ」 先輩は楽しそうに笑う。「ついでにさ、行きたいところがあるんだけどちょっとだけいい?」  私は私で父に頼まれて、わざわざ来てくれている先輩に対して、ちょっとした後ろ暗さもありそれに頷いた。

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