海鳥使いと狩人の旅

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 一章 「ノースオルカとティーフヴァルト」  200頭のシャチと人が共存する北国ノースオルカでは、青い髪と黒い瞳を持つ族長クォウが守り神であるシャチに自分たちが()った魚を投げていた。  彼の7歳の娘フロイデが首から下げた笛を吹くと、ウミネコたちが近づいてきた。彼らの羽で作られており、彼女は海鳥たちと会話できるので『海鳥使い』と呼ばれている。  「族長。近年寒さが厳しくなっており、亡くなる者も増えています。我々も森林の奥にある国ティーフヴァルトに移住するべきなのでは?」20歳の男が クォウに意見を言う。首にはシャチが(えが)かれたスカーフを巻いていた。  「私と娘、お前と4人の女で行く。船の用意をしろ」と答え、クォウは鼻を 鳴らした。  
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