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二章 「フロイデの本心」
3週間かけ、二人は酒場がある港町ラウトへと到着した。とれたての魚を使った料理が人気で、夜になると男たちが大声で騒ぎ始める。
アサリのスープとサケの切り身を食べていると、「これ脂乗ってるよな」と言いながらハリーが二切れ目を取りに行った。
長旅で空腹だった二人にとって、久しぶりの朝食だ。戻ってきて自分の
椅子に座った彼が、彼女が首に巻いているスカーフをじっと見つめながら、
「それ、シャチだよな」と話しかけてくる。
「うん。私たちの守り神なんだけど、人は食べないから」「へえ。オレ見たことないんだけど、会ったらビックリするな」二人は噴き出した。
朝食を終え、フロイデは宿の窓から砂浜で遊ぶ自分と同じ年くらいの子どもたちを眺めていた。ため息をついた時、ハリーが「どうしたんだ?」と聞いてきた。
「私、字を読んだり書いたりするのが苦手なんだ。もっと言葉を覚えたいんだけど」と言うと、「オレと一緒に勉強しよう」と肩をたたかれた。
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