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まるで壁から噴き出したように迸る熱いシャワーを全身で浴びながら、露木は依然として息を切らしていた。すぐさま冷静になった彼がシャワーから出て、もどかしさを蓄えたまま逃げるように風呂場へ入った彼女は恐る恐る手を下へ伸ばす。 太ももの間に掌を忍ばせ、ゆっくりと掬い上げるように撫でる。膣の表面は驚くほど濡れており、いくら粘液を掬い取ってもぬるりと指先が逃げてしまう。 初めて彼に出会った時を思い出し、露木は自分自身を不思議に思っていた。 あれだけ軽蔑していたにも関わらず、今では彼にもっと触れて欲しいと願っている自分に驚きを隠せなかった露木は、まだ腰回りに残った暑い靄を掻き消すため、ゆっくりと乳房に触れた。 まだ彼に触れられていない箇所を確かめるように、乳輪を撫で回してから、小さく膨らんだ硬い桜桃を指先で弾く。激しいシャワーが体を打ち、微かに漏れる喘ぎ声が上書きされていく。 やがて右手を秘部へ伸ばし、中指をずぶずぶと膣口の奥へ進ませた。 勉強や学校生活のことが頭の中から排除され、性的な感情だけで支配されてしまう。 もっと触れて欲しい、もっと触れたい。一度灯った欲望の火は寺を焼き払うほどの業火になって燃え盛る。激しく中指を抜いては突き、それを何度も繰り返した露木は3度目の絶頂を迎えた。 びくんと体が跳ねて背を丸めながら、目眩がするほどの興奮で呼吸が乱れる。そして彼女はゆっくりと中指を抜いて粘液を拭き取りながら大きくため息をついた。 数分前の出来事を思い出しながら鉛のように重い後悔に浸る。一体何故あそこまで積極的になってしまったのか。柄にもなく好きだと連呼して、彼の秘部を求めてしまった。今更になって恥ずかしさが込み上げ、恐る恐る露木は背後の扉を見る。体を洗い終えてもなお彼女は風呂場から出れずにいた。 しばらくして湯船から上がり、音を殺して脱衣所に立つ。全身の水滴を拭き取って、薄い桃色のレースが施されたナイトブラをつけてから替えのショーツを履き、ベージュの作務衣を身に纏う。一体どんな表情で彼に会えばいいのかが分からなかった彼女は白いバスタオルで顔を隠しながら部屋に戻った。 「喉乾いただろ、これ飲めよ。」 ベッドから立ち上がった彼からペットボトルに入ったミネラルウォーターを片手で受け取り、顔を隠したまま頭を下げる。一条は不思議そうな表情で言った。 「何。すっぴん見られたくないってこと?」 「いえ、あの、違います…なんか恥ずかしくて…。」 「何がよ。」 「その…なんていうか、自分がと言いますか…」 「ああ、めちゃくちゃ好きだって言ってくれたこと?」 からかうようなその一言に露木は顔から火が出るほど赤面して、思わず彼の肩を叩いた。彼は大袈裟なリアクションをして、子どものように笑いながら続ける。 「だってな、恥ずかしくて好きって言えないって言ってたのにな。俺も正直びっくりしたよ。こんなに言ってくれるんだって。」 「ちょっともうやめてください!恥ずかしい…」 誤魔化すようにキャップを開けてミネラルウォーターをごくごくと喉の奥に流し込む。いつの間にか喉が渇いていたらしく、ひび割れた地に清流が染み込んでいくようだった。 ふと冷静になると乱れていた自分を思い出してしまい、再び彼女は口籠る。しかし一条は幼子を慰めるように露木の頭を撫でた。 「でも、本当に可愛かったよ。」 「もう…からかわないでください…。」 ぐしゃぐしゃと髪を混ぜられ、不満そうな表情を浮かべたものの見上げた先にあった一条の表情が、ぱあっと輝く太陽のように思えて、露木は諦めたように笑ってしまった。 いつの間にかクリスマスイブは終わり、彼と出会った1年も終わろうとしていく。来年の春には彼が学校からいなくなってしまうと悟った露木は、その寂しさを誤魔化すように一条に抱きついた。 作務衣の向こうからほんのりと香るボディーソープを嗅ぎながら彼女は目を瞑った。瞼の裏には数十分前の淫らな行為ではなく、今まで過ごしてきた7ヶ月の映像であった。
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