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「えっ!ら、ラブレター!?」
絢音からの思いがけない報告に、机に手をついてガタッと音をさせて椅子から勢いよく立ち上がった。
「何よ、そんな驚くことじゃないでしょうに」絢音は怒ったようにぷうっと頬を膨らませる。
「え、あ、そう? ごめん」
そういえば絢音は意外にもモテるらしい。去年クラスメイトに「えっ、生徒会長って佐倉の姉ちゃんなの、いいなあ」なんて羨ましがられた記憶がある。何でも才色兼備の高嶺の花で男子生徒からの憧れの的だそうだ。
この姉がねえ、と去年を思い出しながら絢音のほうを見ていると「コラ、聞いてるの?」とポカリと軽く頭を叩かれた。どうやら何か話を続けていたみたいだ。
「ごめん、聞いてなかった」
「もぉ。まあ正直に言ったから許すけど」そう言って話を続ける。
「このラブレターさ、差出人が書いてないのよ」
「え? 差出人?」
「そう、誰からかちゃんと書かれてないの」
「そりゃまたお姉ちゃんもそそっかしい人に好かれたもんだね」
「……なんてこと言うのよ。ちょっと抜けてるだけで他はしっかりした良い人かもしれないじゃん」
「まあでも差出人が書いてないなら返事も何も出来なくない?」
「そうなんだよね。でもね、ヒントがあるのよ」
「ヒント?」
「そう、ヒント」と言ってラブレターを机の上に置いた。
「こんな紙に書くんだね、ラブレターって」
無地でペラペラとした紙を見て思ったまま口にする。
はじめの勝手なイメージではピンク色の封筒に、ハートのシールがついているのがスタンダードだ。でもそれは女子からの場合なのかな。
「知らないよ、これだったんだからしょうがないじゃん」
「いやまあ良いんだけどさ」
絢音がおいたラブレターを覗き込んだ。
そのラブレターの内容はこうだ。
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佐倉さんはラブレターを貰い、告白されたと言っています。しかしそのラブレターには差出人が書いてありません。告白した候補としては下の5人がいます。
花澤「僕はラブレターを書いていません」
竹達「僕と松岡はほんとのことを言っています」
伊藤「僕は松岡のことが好きなので告白していません」
水瀬「伊藤は告白していません」
松岡「僕と花澤は告白していない」
さて誰か1人だけが嘘つきで残りの人は本当のことを言ってます。
その嘘つきを当てて告白した人をみつけ出してください。
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