雨恋

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「席座れよー」 カラ…と静かに教室の扉が開いて、先生が入ってきた。 教室が一騒ぎしてみんながそれぞれの席につく。 理緒も窓側の席に腰かけていた。 太もものあたりまである髪を背もたれに引っ掛けている。 天使の輪がてらてらと輝く。 「全員いるなー?今から始業式だ、準備しろー」 先生の適当な出席チェックを何となく聞き流して彼女の方を見た。 「あははっ!それなw」 「だよね、やっぱ理緒は話分かるなぁ」 「まあ、天才ですから☆」 「おい〜!w」 「wwww」 友達と楽しそうに会話している。 彼女が笑う度に、つやつやの黒髪が揺れてレモングラスのシャンプーの香りがする。 本当に、可愛い… 「ちょ、航大あとお前だけだぞ」 良き理解者である、若森笑弥に催促されて僕は体育館シューズを掴んだ。
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