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昼休みの教室の奥、
「何か面白いことやれよカモ吉」
怠そうに椅子に座る長沢は、窓際に座る鴨居を足で小突く。
「面白くなかったら罰だかんな」
長沢の隣に座る山本が睨みを効かせる。
嫌がらせに慣れている鴨居は、
「わかった」
笑顔で了解し、
「じゃあ……」
少しの間を置き、
「今から僕は嘘をつくから、どの部分が嘘なのか当てて」
「嘘つきクイズ」を提案する。
「はぁ?なんだそれ。
そんな怠ぃーこと……」
鴨居の頭を叩こうとする長沢の右手を掴み、
「いいじゃねぇか、嘘つきクイズ。
その代わり、俺たちが当てたらお前罰ゲームな」
山本は嫌な笑みを浮かべて鴨居を見る。
「いつも罰ゲームさせてるじゃないか」その言葉は飲み込み、
「いいよ、なんでも……
どんな事でもするよ」
鴨居は笑顔を二人に見せる。
「おっ、言ったな。
そこまで言うからには覚悟しとけよ」
長沢の睨みが増し、
「ふざけた問題でも罰だかんな」
「早くやれ」と山本の右足が鴨居の右足を踏みつける。
「じゃ、じゃあ……」
痛さを見せない笑顔でクイズを始める鴨居。
「僕は今から一つの嘘をつきます。
明日は僕の誕生日。
明日で僕は十六歳になります。
きっと僕には明るい未来が待っている筈。
さぁ、嘘はどこでしょう」
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