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「なんだそりゃ。
カモ吉の誕生日なんか知らねーし」
長沢は誕生日を怪しむ。
「カモ吉に明るい未来なんてねぇーんじゃねぇの」
山本は抽象的な言い回しの内容を嘲笑った。
「どっちも嘘じゃないよ」
微笑んだままで答える鴨居。
その姿にイラついた二人は、
「はぁ?
じゃあ、嘘は一つじゃなくて二つあるんだろ!」
「嘘があるってのが嘘なんじゃねーのか!」
怒鳴りつけながら立ち上がり、鴨居の胸ぐらを掴み上げる。
「どちらも不正解。
嘘をついてる部分はちゃんとあるよ」
鴨居の笑顔は、二人を馬鹿にしているようにも見えた。
「ふざけやがってコイツ……」
長沢の右拳が高く振り上がった時、
「あっ……」
二人の目に飛び込んできたのは、
「なんだあれ……」
外窓の向こう側、二人を逆さで睨みつけながら、
「う、嘘だろ……」
上から落ち通り過ぎていく鴨居の姿。
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