嘘つきの笑顔

3/3
前へ
/3ページ
次へ
「きゃぁーーーっ!」 「だ、誰か落ちてきたぞ!」 「と、飛び降りだ!」 窓の外から悲鳴が響き渡る。 長沢と山本は窓を開け、顔を出して下を覗き込む。 コンクリートの中庭に、ありえない方向にねじ曲がった血塗れの死体。 「お、おい…… あれって……」 「カモ……吉だったよな」 二人の背筋は凍りつく。 だが、確認しないわけにはいかない。 顔を見合わせ、生唾を飲み込み、震える息を合わせて「せーの」で振り返る。 「い……」 「いない……」 先程まで絡んでいた同級生の姿は消えていた。 「じゃ、じゃあ………」 「やっぱりあれは……」 もう一度見返す勇気の出ない、先程の死体を思い返した時、二人の耳元に声が囁く。 「正解は、僕は十六歳にはなれない。 君たちのせいで」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加