0人が本棚に入れています
本棚に追加
三葉
ナヒトは上手くやっているだろうか。
時刻は朝の6時。ロフトベッドの上で寝転がりながら、三葉はふとそんな事を考えていた。
「…っと、そろそろ支度しないと。」
今日は朝から会議がある日だ。遅刻するわけにはいかない。そんな事を考えながらロフトベッドの梯子を降りると、冷蔵庫を開けてペットボトルの水を直接飲んだ。
「しかし、変な事になったなぁ…」
三葉は数日前の事を思い出す。
その日、いつものように仕事から帰ってくると、近所のアパートの階段に猫が1匹箱座りしていた。この辺りで猫を見かける事は殆どない為、珍しいなぁと思いながら目の前を通って自宅へ向かった。すると、その猫はすっと立ち上がると、私を追って歩き始めたのだ。
「なに?食べ物なら持ってないわよ。」
家まで着いてこられるのも、面倒だ。そう思い追い払おうとしたのだ。が、
「アンタに用があるの。」
「え」
頭が真っ白になった。なんせ道端の黒猫が私に話しかけてくるのだから。最近仕事が忙しかったから、遂に幻聴まで聴こえる様になってしまったのかと思った。
だが、直ぐに幻聴ではない事が分かる。
黒猫は真っ直ぐ私の目を見つめて、弟を、
"真田四葉"を救う為に協力してほしいと言ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!