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コールの村
目を覚ますと、辺りはすっかり朝になっていた。嗅ぎ慣れたミカヅキの花の香りがほのかに漂ってくる。
見回すと、どこか見覚えのある森の中だった。
何故こんなところで寝ていたのだろうか。ヨツハは寝ぼけた頭で考える。
…そうだ、僕は旅をしているんだった。
コールの村はもう目と鼻の先だ。急がなくては。
急いで身支度を済ませると、ヨツハは1人歩き出した。
村の手前で、獣と戦っている人間に遭遇した。ヨツハの身長より倍はあろうか思われる獣に対峙しているのは、獣とは対照的に小柄な少女だった。長い黒髪のその少女が真っ直ぐに獣を見つめる瞳は、太陽の光に照らされて黄金に輝いているのだった。
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