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「初めまして。桜子と申します」
「はじめまして、朝宮です」
ママに指示されたテーブルに移動して、私は自己紹介をした。彼は若いように見えたけれど非常に顔だちがよくてかつ雰囲気が普通の人ではなかった。
黒髪から覗く大きな瞳は笑っているようで笑ってなどいなくて、挨拶しただけで背筋が伸びる。
…どんな仕事をしている人なのだろうか。
「話はママから聞いたよ。初日なんだってね」
「はい、初日というよりも…試用期間ですね」
「そうなんだ。なんだかここの雰囲気に合っていないようだけど」
多分朝宮さんが言いたいことは、ママにも言われたことと同じなのだろうと思った。
「お飲み物は?」
「今頼んでたから大丈夫だよ。あぁ、そうだ、君は?何でも頼んでいいよ」
優しい口調で言われて私もお酒を飲むことにした。
実は、ママにはお酒はそこそこ飲めるといったが実際はかなり弱い。
…お茶とかジュースにしてもらおうかな。
ボーイさんが飲み物を運んでくる。
私の飲み物は朝宮さんと同じシャンパンを飲むことになってしまった。
お酒の種類すらあやふやでわかっていないのにこんなところで働こうとするなんて…無謀と言われれば確かにそうかもしれない。
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