番外編②

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「はいどーぞ。これはサービスだよ」 「ありがとうございます!」 「ごゆっくり~」 「倉田さん、」 二人の邪魔をしないように離れようと背を向けるとすぐに旦那さんに呼び止められる。 なんでしょう?と営業スマイルを向けると、旦那さんは真剣な目で僕を見据えてしっかりとした声で言った。 「ありがとうございます。桜子のことよろしくお願いします」 「あ、…もちろんですよ!」 凛々しい顔つきになると余計に際立つ端正な顔に思わず背が伸びる。 どういう遺伝子でこんなハイスペックに産まれるのだろうか、なんてどうだっていいことを考える。 「よかった~僕、桜子ちゃんの旦那さんに嫌われてるんじゃないかって思ってて」 「そんなことは、」 調子に乗って桜子ちゃんの肩に手をポンと置くとすっと笑顔を消して無表情になる旦那さんは 「そんなことは…ありますね」 そう言って立ち上がると僕の手を払ってにっこり口角をあげて僕を見つめる。 その目の意味を漠然とではあるがわかってきた。 おそらく桜子ちゃんの旦那さんはとても彼女が好きで心配性なんだろう。 だから嫉妬の目を向けられても仕方がない。 でも僕が言いたいのは、こんなハイスペック夫から彼女を奪おうなんて思うわけないということだ。 もしそんなことを少しでもしようとしたならば、きっと全力で僕の人生をつぶしに来るだろう。 「怖いなぁ」 ぽつり呟くと意味が分かっていない桜子ちゃんと目が合った。 ので、ウインクすると更に意味が分からない、という顔をする。 いい夫婦だね~と心の中で呟きながらも、旦那さんとは永遠に仲良くなれないと思って苦笑した。
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