番外編③

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千秋さんが帰宅するとすぐに私は普段通り夕食をテーブルに並べて彼と一緒に夕飯を食べる。 もちろん彼の帰りが遅いときは先に食べてしまうが。 千秋さんがスーツから部屋着に着替えてくると「今日は煮物もあるんだ、すごく美味しそう」と言って椅子を引いて座る。 「ありがとう。いつも助かってるよ」 「いえいえ、そんなことは」 穏やかな笑みを浮かべたまま、私の頭の上に手を置こうする千秋さんを瞬間的に避けてしまった。 「…」 「…」 どうして避けてしまったのか、と自分に問いかけるが明確な答えはなかった。 強いて言えば、おそらくあの雑誌のせいだろう。 日常的に距離が近いとマンネリしてしまうらしい。 その”距離が近い””ベタベタ”がどの程度なのかそれをもう少し詳しく書いていてくれたらいいのにあまり書かれておらずそのせいで今こういう結果になっている。 微妙な雰囲気が流れ、彼の手は何の標的も見つからずにただ空を切ってもとの位置へ戻る。 気まずそうに瞬きをすれば彼はじいっと私を見据え何かを考える素振りをする。 「…とりあえず食べよう。冷めちゃうから」 「はい」 いただきます、そう言ってお互いの声が重なり食べ始める。
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