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♢♢♢
「なるほど、じゃあ次は…」
高級クラブ蓮
開店時間前の16時に私はクラブへ面接に来ていた。
ママはものすごく美人で40代には全く見えない。私が持ってきた書類一つ一つに目を通すその動作すべてが綺麗で
所作が綺麗とはこういうことを言うのかと勉強になる。
志望理由やこういった水商売は初めてなのか、などサラッと聞かれた後は
「じゃあ、一般教養のテストを受けてください」
「え?!」
「当たり前ですよ。ここは完全指名制かつ来るお客様は政治家、大物芸能人、起業家…ただ頷いていればいいだけの仕事ではありません」
「…は、はぁ…」
「スタイルもいいしお顔立ちもいいけれど、それよりも大事なのは教養です」
「…」
そういってにっこり笑ったママの目は笑っていなくて思わず苦笑いをした。
結果としては、教養のテストは満点だった。
日ごろから趣味で政治、世界情勢等のニュースや記事を読み漁っては調べていたから簡単すぎるくらいだった。
「あら~すごいわね」
「このくらいなら…」
「そう。でもごめんなさいね」
「え?」
「ちょっと雇えないわね」
「な、なんでですか!」
食い気味で聞くと、ママは答えた。
―上品さが全くない
なら最初からテスト受けさせないでよ、と思いながら目線を落とす。
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