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高級クラブで働く女性に皆共通していたのは品があるということだった。
ママが何故私を不採用にしたのか分かった気がした。
美人だけじゃダメだし学があるだけでもダメ。
急に緊張してきた。
衣装は紺色のぴったりしたドレスで胸元が開いているから裸でいるようだった。
でもそんなことは言ってられない。何としてでも借金返済するのだから。
「今日新規のお客様がいらしたらついてもらいます。あとはそうね、他の席にもついてもらうかもしれない」
「はい」
「じゃあ、よろしくね」
周りの人は誰?という目を向けるがそんなことは言ってられない。
「あ、ちなみに。髪のセットも毎回美容室よ」
「え?!」
「今日は私がセットしましたが、もし次があるならそうなるからね」
「はい…」
全く知らない世界へ足を踏みいれるのは勇気がいる。
でもなんとしてでも…その思いだけで動いている自分に感心する。
今日は土曜日だったこともあり人が多いようだ。
ソワソワしていると
”桜子ちゃん”とママに呼ばれた。
「あそこの席へ。大丈夫よ、二度ほど来てくれてるお客様でお若いし気難しい人じゃない。煙草も吸わないはず」
「わ、わかりました」
「今日初めてだって伝えてあるから」
「はい」
私は指示された席へ向かった。
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