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「ねぇねぇ、健太、さっきの嘘でしょ?!
佐藤さんの話聞いたって。」
「うん。嘘だよ。」
全然、悪びれてない健太に私は少しイラっとした。
「あのさ、健太さ、昔から嘘が多いけど、何でそんなに嘘つくの?嘘つくの良くないと思うよ!」
「未希、僕は嘘をつく事が全て悪い事だとは思ってないんだ。嘘には良い嘘と、悪い嘘があると思うんだ。必ずしも本当の事を言って幸せになるとは限らない。そう思う。」
「どういう事?」
「僕が小さい頃、母が仕事に出ている間に父は、まだ意味が分からないと思って、僕が家に居るのに女を頻繁に連れ込んでいたんだ。僕は父が浮気をしていること理解してたよ。だけど初めは内緒にしてたけど、様子がおかしかったみたいで母が僕に聞いてきたんだ。だから母は真実を知りたいと思って話したんだ。そしたら家族が壊れた。僕は母に引き取られて、母は僕を育てる為に朝から晩まで働いて、過労で倒れる事も沢山あったんだ。だからあの時、嘘をついていたら、母はそんな苦労する事も無く幸せに暮らせたかもしれないと僕は思う。世の中には嘘によって幸せで居れる事もあると思うんだ。」
「ん~、そうかもしれないけどさ。話してくれて、ありがとう。健太、色々あったんだね。」
「未希は、まだ嘘は駄目って思ってる?実は僕が未希についてしまった嘘で後悔していていることを告白するよ。」
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