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プロローグ
私はゆっくり目を開けた。目の前にはベッドの脇から吊るされたベッドメリーのぬいぐるみがオルゴールの調べと共に回転しているのが見える。
「……気が付いたのね、陽毬。ママが分かる?」
声のする方向に視線を移すと、そこにはとても愛おしい顔が見える。
「……マ…ママ……」
苦しくて、私は小さくそう呟くのが精いっぱいだった。
ママの顔は笑顔なのに両瞳は涙で一杯だ。彼女は左手で私の頬を撫でてくれる。その薬指には銀の指輪が見える。
「……大丈夫よ。絶対、ママが陽毬の病気を治してあげるからね」
その声に頷くと、私は再び眠くなってしまった。
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