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夕陽
ある日、僕は、J線の、電車に乗った。
秋の夕陽が、眩しい日。
ふっと、車内を見渡すと、ある青年に、目が止まった。
数年前に、会ったきりの、青年だった。
彼は、酷く、愛に傷ついた青年だった。
僕は、話し掛けようとして、ふとやめた。
なぜか、、、。
夕陽に、照らされた、彼の笑顔が、眩しすぎたからだ。
僕は、彼に気づかれないように、K駅で降りた。
K駅を降りると、いつものように、賑やかな人の波。
手を繋いだり、肩を抱き締め合う、恋人達が、目につく。
人は、愛に傷つき、そして、新しい愛に癒される。
僕は、そう信じている。
僕は、彼の、あの眩しい、笑顔の青年の幸せを
心から、祈りながら
人波の中を、歩き続けた。
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