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向日葵
あの頃、私は、女学生で
あなたは、大学生。
戦争が、始まって、あなたに、召集令状が来た。
学徒出陣。
私は、泣いて、泣いて、あなたと、愛し合った。
明日が、ないかのように、愛し合った。
あなたは、飛行機乗り。
嫌だ。嫌だ。あなたが死ぬなんて。
どんなに叫んでも、どんなに祈っても
変わりは、ない。
“ 私、待っている。いつまでも。いつまでも ”
あなたに告げると、悲しそうな顔を、するだけ。
東京に、火が廻って
私は、少し田舎の方に、逃げた。
あなたは、鹿児島の知覧にいた。
そして、戦争が終わった。
向日葵の、元気がなくなる頃
あなたは、帰って来た。私の所に。
“ 僕は、死ねなかった。仲間と同じように
役に立ちたかった ”
そう言って、一人部屋に、閉じ込むばかり。
何も食べずに。
ある夜、私は、あなたの、お布団の中に、入った。
“ 生きるということは、愛し合うことよ ”
あなたは、泣いた。泣いて、泣いて、泣いて、泣いた。
私たちは、泣きながら、愛し合った。
それから、少しずつ、あなたは、元気になった。
仕事も、はじめて、もっと元気になった。
私たちは、愛し合う。
あなたが、戦争に行く前のように。
赤ちゃんが、できた時
あなたも、私も、喜びに包まれた。
“ 僕は、生きて、幸せになる。仲間の分も ”
あなたは、生きている。
私も、生きている。
手を取り合うだけで、幸せだと思える、幸せ。
今日も、生きる。
明日も、生きる。
愛し合って、生きる。
あなたと、、、。
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