十一才の恋人

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十一才の恋人

初めてあなたに、会えた時、あなたは、十一才。 十一才の恋人、ふたりで、ブランコに乗った。 それは、夏の日。 木洩れ日が、眩しく、蝉は、一斉に鳴いていた。 十一才の恋人、あなたは、背が高く、とても十一才とは、思えない。 十一才の恋人。あなたの、膝の上に、座った時 あなたは、驚いて、私を、見つめた。 十一才の恋人、あなたは、平気で、高校一年生の数学の、問題を解いた。 お蔭で、いつも、私の数学のテストは、百点満点。 十一才の恋人、ブランコの上で、唇を重ねた時 あなたは、泣いた。 十一才の恋人、初めて会ったのに、遠い昔、どこかで会っていたような気がした。   十一才の恋人、その秋の、私の誕生日。 小さなピンクの、ダイアの指輪を、贈ってくれた。 嬉しくて、泣きながら、ありがとう、しか、言えなかった。 十一才の恋人、あなたの、お父様、お母様が 亡くなった時 生まれたままの姿で、唇を重ねあった。 ただそれだけで、悲しみを、食べあった。 ふたり、小さなベッドで。 十一才の恋人、それから、いつも、ふたりでひとり。 少し遠くに、住んでいるけれど いつも、ふたりでひとり。 十一才の恋人、あなたを、忘れない。
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