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あなたと、あなたのお友達と、私達は、M駅でおりた。
私は、継母が用意してくれた、着替えを、友達に
渡して、
【 少し後で、お邪魔するから。】
そう言って、あなたと、歩き始めた。
父は、その日、出張だった。継母は淋しがっていた。
【 なるべく早く来てね。今日は、瑠璃ちゃんの好きな、天ぷらを作るの。お母さんと一緒に。】
【 分かったわ。ありがとう。】
あなたは、【 少し、歩きましょう。】
そう言って、私の手を握った。
どこに歩いて行くのかは、分かっていた。
あなたと、手を繋いで、あの坂道を歩きたいと、いつも思っていた。
あなたと、坂道を上った。
坂道の、一番上に上った時、夕陽が綺麗だった。
私は、その日も、あなたに書いた、愛する手紙を持っていなかった。
【 私、西条瑠璃です。】
【 知っていますよ。あなたの名前位。】
【 え?どうして? 】
私が、訊いても、あなたは照れて、何も言わなかった。
【 私、目黒の方に、引っ越ししたんです。】
【 あ、それは知らなかった。どうりで、会えない筈だ。淋しいな、、、。】
あなたは、そう言って、私の手を強く握った。
私も、あの時と同じように、力いっぱい握り返した。
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