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その時、夕陽が力強く光った。
あなたと私は、二人並んで夕陽をじっと見つめた。
とても綺麗だった。とてもなんてものじゃないわね。 あの時の夕陽は、、、。
そして私は、何となく後ろを見た。
すると、雨上がりでもないのに、虹がすっと出た。
私は、近眼だけれど、なぜかはっきりみえた。
七色の虹
虹は、時々見るけれど、はっきりした七色の虹を見たのは、生まれて初めてだった。
【あ、虹 】
私が、そういうと、あなたも、後ろを振り返って
虹を見つめた。
その時、私はよろけて、転がってしまいそうになった。
坂道の一番上に、私達はいたのよね。
私は、あなたの腕を掴んだ。
するとあなたは、私の手を、腕できつく挟んだ。
私は、あなたの腕が、疲れてしまうと思って、そっと、手をあなたの掌に移した。
あなたの手は、大きくて少しごつごつしていた。
その時、私達は、又、瞳を見つめ合って、少し笑った。お互いに。
あなたは、私の小さな手を、力強く握った。
私も、精一杯握り返した。
とっても嬉しかった。あの時、、、。
虹が、消えかかった時、初秋の風が、やさしく私達に吹いた。
りんごの匂いと、あなたの爽やかな香りが、伝わって来た。
私は、あなたとなら、ずっと一緒にいても大丈夫だと思った。
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