あなたに 第1部 あなたとの出会い 

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あの時、周りには誰もいなかった。 そう、あなたと私と、ふたりだけだった。 不思議ね。   あなたに、会いたかった。今度会えたら、手を繋いで、歩きたかった。 あなたは、笑うかしら? 今時、手を繋いで歩きたいだなんて。 私には、笑い事ではないの。なぜなら私は、男の人なんて知らなかったから。 手を繋いで、歩いた事すらなかった。 高校は、共学だったけれど、これと云って好きな人なんていなかったもの。 あなたを、想う気持ちは、初恋かも知れない。 あなたと、初めて会った時の印象。こんな事を書くのは、ちょっと照れくさいけれど、、、。 お伝えします。 まず、心が、生一本。そして、気骨があって、困難な事があっても、逃げたり、投げやりになったりしない。 その長い足で、ハードルをひょいと跨いでしまう。 そして、何より逞しく頼りになって、優しい心を持っている。  そう思ったの。あの時。 私の、第一印象は、外れた事はない。 後になって、やっぱり外れてはいないと分かった。 あなたに、会いたかったけれど、あの坂道を登れなくなった。 私の父も、あの坂道が好きだった。毎日登っている。 あなたに、会って、手を繋いでいたら、あなたは、私の父に、殴られるわ。 【君は、誰だ。】 って。 私の父は、とても怖い。 私は、別の道を選んで、大学に通うようになった。
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