28人が本棚に入れています
本棚に追加
あの時、周りには誰もいなかった。
そう、あなたと私と、ふたりだけだった。
不思議ね。
あなたに、会いたかった。今度会えたら、手を繋いで、歩きたかった。
あなたは、笑うかしら?
今時、手を繋いで歩きたいだなんて。
私には、笑い事ではないの。なぜなら私は、男の人なんて知らなかったから。
手を繋いで、歩いた事すらなかった。
高校は、共学だったけれど、これと云って好きな人なんていなかったもの。
あなたを、想う気持ちは、初恋かも知れない。
あなたと、初めて会った時の印象。こんな事を書くのは、ちょっと照れくさいけれど、、、。
お伝えします。
まず、心が、生一本。そして、気骨があって、困難な事があっても、逃げたり、投げやりになったりしない。
その長い足で、ハードルをひょいと跨いでしまう。
そして、何より逞しく頼りになって、優しい心を持っている。
そう思ったの。あの時。
私の、第一印象は、外れた事はない。
後になって、やっぱり外れてはいないと分かった。
あなたに、会いたかったけれど、あの坂道を登れなくなった。
私の父も、あの坂道が好きだった。毎日登っている。
あなたに、会って、手を繋いでいたら、あなたは、私の父に、殴られるわ。
【君は、誰だ。】 って。
私の父は、とても怖い。
私は、別の道を選んで、大学に通うようになった。
最初のコメントを投稿しよう!