水族館のペテン師

4/6
前へ
/6ページ
次へ
さかなエリアに入ると、巨大水槽が真っ先に目に飛び込んでくる。 「わわわ!すげーーーーー!なんだここ!? まるで本物の海でダイビングしてるみたいだ!初めて見たよこんなところ! 佐々木さん!凄いですよ! ありがとうございます!」 というか、本当に自然の中に入っているみたいだ。これは、話題になるはずだ。 「でしょ。そうなんですよ。」 「はい、本当の自然みたいで!」 「ええ、だから、ではなく、 、なんですよ。」 「......へ?」 この男は一体、何を言ってるんだろうか。 「あなたにしかお教えしていないんですよ。 絶対に、誰にも言わないでくださいね。約束ですよ。」 と言って佐々木は、口元に人差し指を置き、わざとこちらに怪しい顔を作ってみせる。 何を言ってるんだろう。 「本物って、そんなまさか。これ全部映像って事ですか?」 佐々木に耳打ちをする。 「はい、そうです。全て映像です。」 どうやら、本気のようだ。 だが、そうと言われてもピンとこない。 巨大な水槽の中を、綺麗な魚達が泳いでいるように見える。 ただ、大自然の中のようであるだけだった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加