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「その尊い犠牲が無駄にならないように、私たちが命がけでアルディストンを防衛します」
ユキは迷いなくいった。嘘偽りのない言葉だった。
その覚悟はできている。ブレイバーに昇格を決めたその日から――。
今は亡き彼女――戦友であり親友でもあったリーシェに、ブレイバーとしての覚悟を試され、そして認められたそのときから――。
すでにもう、覚悟はできている。
そうね、とレジーナは呟いた。
「私も出ますから。防衛戦に――この『首都防衛AL作戦』に」
「――やっぱり……レジーナ様が――」
半ば覚悟していたことでありながら、驚きを隠しきれなかった。
化神を出撃させるという案は、アルディス軍内部では、水面下で調整が進められていた。
しかしながら、これまでに国内外に対する正式な発表はされていなかったのだ。
いよいよ、その日が来るということだ。
化神が戦争に参戦する場合、参戦させる側の国はその事実を事前に公表しなければならない。これは、三大国家の間に結ばれた条約の内容だ。
つまり、神徒レジーナが首都防衛戦に参戦する場合、それをゼノビアに伝える義務がアルディスに発生する。
具体的に、何年何の月何日から、という日時までもを、全世界に向けて公式的に発表する必要があるのだ。
その発表がいまだなかったため、アルディス軍はその的確なタイミングを図っているところなのだろうと、ユキは理解していた。
が、これで氷解した。
この戦争のターニングポイントともいえる『首都防衛AL作戦』に、レジーナを出撃させる目論見なのだ。
やはりアルディス軍は本気だった。
防衛戦の日時を考えると、近々正式な発表が行われるのだろう。
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