二章 決戦に臨む者たち

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「悪かったな。――いちおうの確認だけだよ」  まさかルカという男の中に、ここまでの哲学が存在するとは思ってもいなかった。  たしかに独特の世界観を持っているとは感じていたし、ただの軽薄なヤツではないことはわかっていたが。  ただもうこれで、。  これはルカからの、ハッキリとしただと捉えるべきかもしれない。  戦争が終わり、ルカがブレイバーを辞めるといったとき、もうハンスに口出しする権利はないのだ。そういう線引きを、今この瞬間にされたのかもしれない。  野暮というものだろう。ここまでの決意を固めている人間を相手にして、易々と否定的な言葉をかけられるわけがなかった。  そのときは心から祝福して、彼を送り出してやるべきなのだろう。  たとえルカがアルディストンを去ることになろうと、ここまでの共闘は称えるべきことだし、その後の健闘は祈るべきものだ。 「じゃあ、そのルカの夢のためにも、さっさとこの戦争を終わらせないとな」  みんなそれぞれに、この戦争の先には、別々の夢や未来を抱えている。その別々の未来を掴みとるため、やるべきことをやるだけだ。 「だな。相棒よ。こっからの厳しい戦いも、フォロー頼むぜ」  ルカの差し出した掌を、ハンスは無条件で握り返した。  ただ――。  少し腑に落ちないことがあった。 「――でも、なんでわざわざ、このタイミングで?」  ハンスの元を訪ねてまで、それを語ったのだろう?  もちろん、語るべき相手に選ばれたことは、とても光栄ではあるが。
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