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「驚きましたか?」
してやったり、という表情を、レジーナはする。
「私もようやく、アルディスのお役に立てるわけです。必ず、この国をいっしょに守りましょうね。絶対にできますから。『ノアの意志』は私にそう語りかけています……」
『ノアの意志』が――?
「は、はいっ」
不思議だった。不思議な感覚だった。
短い言葉でありながら、神徒レジーナという偉大な存在が紡ぎ出すそのひと言ひと言は、神聖なる重みを持っていた。
そして最後の言葉で、いっそうその凄みを増した。
『ノアの意志』。
『ノアの意志』が語りかける――。
それは何かの比喩なのだろうか。
それとも、本当に――?
実際のところはわからない。けれど彼女は、女神アイリスという、ノアの生んだ神に魂を分け与えられた人間なのだ。その存在そのものが、もはや人間の常識では語ることができない。
彼女にはノアの言葉が聞こえているのだろうか。
彼女には、この戦争の結末が見通せているのだろうか。
もしそうなら、これほど心強いことはないのだ――。
「ユキさんは、『ラグナロク』という魔法を知っていますか?」
またもや突然に、レジーナは告げた。
「――もちろん、知っています。魔研が今も開発を進めている、いわゆる『究極魔法』ですよね? この戦争を終わらせるための、最終兵器とすらいわれています」
「その通りよ。『ラグナロク』の開発には、実は私も少し関わっています」
それについては、ユキも聞いたことがある。
というよりも、そもそも化神という存在は、代々アルディスの魔法技術の発展に注力してきた歴史があるのだ。
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