二章 決戦に臨む者たち

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「ん?」  ルカは相変わらずの、掴みどころのない笑みを作った。 「ま、なんていうか、いろいろと進展してるからさ。――過去のことも未来のことも、前進を続けてて、なーんかもうすぐで、何かが掴めそうなところなんだよな」  それ自体は、取りとめのない言葉だった。具体的にどう進捗しているのかはわからないが、ルカにとってプラスの方向へと進んでいるらしい。 「――それに、次は首都防衛の決戦だ。こうやって話すのも、これが最後かもしれないと思ってね。お互いに、明日を保障されてない身だろ?」  明るい表情でルカはいう。どこまでも、不敵だ。 「そうだな……」  そういう世界で戦っている。  いくら人間の意志が偉大であろうと、しかしその願いだけで生命が維持されるわけではないのだ。  もしかすると――ルカはハンスに、自分の思想を言葉にして語ることで、その哲学をより強固なものにしようと考えたのかもしれない――。  ぼんやりと、そんなことを思った。
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