三章 『AL作戦』

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 顕暦八七四年、仲秋の月、二十三日――。  開戦から、四十三日目。  午前七時にアルディス軍は進行を開始した。  目指すのは、首都アルディストン近郊の、元々はアルディス国民が暮らしていた、アルデウトシティという名の街だ。  しかし今は、ゼノビア軍によって占拠されようかという立場にある。  彼らはこの街をベースキャンプとして扱うべく、侵攻作戦を続けている最中だった。  だからもう、土地の半分近くは、彼らに蹂躙されているといってもいい。仮に全土が支配されたなら、それはいわば、要塞のような様相を呈してくるだろう。  同じように、ゼノビア軍によって支配されてしまった街は、現在となってはアルディストン近郊で三ヶ所ある。それぞれに自走兵器が配備されているらしく、迂闊には攻め入れない状態に陥っているらしい。  そればかりではなく、首都アルディストン攻略が眼前まで迫っているのだ。  だからこそ、今回の防衛戦――『首都防衛AL作戦』が決行された。  国内中に散らばっていたブレイバーパラディンたちを一時的に一ヶ所へ招集し、短期決戦で終わらせてしまおうというのが、アルディス側の算段だった。  というよりも、リスクを犯してでもそうするしか、道は残されていなかったというほうが正しいかもしれない。  その国内決戦メンバー編成発表されたのは、昨日のことだった。  ハンスがアルディストンからベースキャンプ移動したのが二日前だ。  そして昨日の朝、神徒レジーナやルカとの会話をかわしたその後に、緊急の呼び出しがあって通達されたのだ。
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