三章 『AL作戦』

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 集められたメンバーと顔を合わせただけで、ハンスの身は引き締まった。誰も彼も、実力者揃いだったからだ。  まず、これまで経験したことがないほどに、黒の軍服を身につけたパラディンの数が多かった。  普通、精鋭とされるパラディンは、戦力均衡のために各地に分散される傾向にあるのだが、それを崩したということは、アルディス軍の本気度の表れともいえるだろう。  そして――ハンスと同じ部隊には、ユキがいた。といっても、今回は大隊規模の軍勢が一同にしてアルデウトシティに攻め込むため、あまり部隊という枠組みに意味はない。  強いていうなら、同じエリアで戦うというくらいだ。  それでも、ユキの顔を見るのもまた、かのゼノビア潜入任務から帰還したとき以来、久しぶりのことだった。  悪い知らせがないということは、無事であるということを示すわけだが、それでも心配がなかったわけではない。だからこうして顔を見ると、それだけで安心できた。  そのうえ同じ戦場に立つのだ。できることならば、少しくらいは言葉を交わしたい気持ちはある。  けれど、どうなるかはわからない。暗黙のルール以前に、ここからは血生臭い戦闘が始まるのだから。  そして集められた人員の中には、あのベルトラムとシェイラもいた。当然ながら、パラディンの首席も参戦するのだ。  しかもどうやら、シェイラはハンスと同じ隊となって行動をともにすることになるらしい。まるでオールスター部隊といっても過言ではないくらい、豪華な面々に囲まれているのだ。
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