三章 『AL作戦』

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 ただ、戦闘性能の高い攻撃魔法や、兵力の回復に不可欠な治療魔法、さらにはマナや魔力によって動く機器、それらをたくさん見せられた今となっては、魔法技術を手中に納めたい気持ちはわかる。  魔法こそ、次世代のノアの席巻する技術なのではないかと思うのだ。 「現時点では、この世で一番伸び代のある軍事力といわれているからな。機械兵器は製造や修繕、あと弾薬の補給とか、課題が多い。イーヴァインのオーラは、便利とはいえ現代戦闘においては役不足感が否めない」  なるほど、そういう評価があるらしい。 「そして魔法は今も進化を続けている。火力も射程距離も、年々伸び続けてる。神徒レジーナ様は、その最先端の魔法でヤツらを一掃するだろうさ。――ま、噂に聞く『究極魔法』はまだ完成してないみたいだけどな」  究極魔法――あまりにタイムリーな話題だったので驚いた。  その話は、つい数日前にシャーロットから聞いたのだ。あくまでも極秘情報として。  究極魔法は、その名を『ラグナロク』と呼称するらしい。そしてすでに、試作型のラグナロクは完成しているのだと、シャーロットはいっていた。  そして実験の目的も兼ねて、このアルデウトシティの決戦で、『試作型ラグナロク』の使用が認められている――。  おそらく究極魔法の動向については、魔研からの公式発表はまだなかったはずなので、ルカはどこかのルートからそれを知り得たのだろう。  相変わらず、ハンスには知るよしもない、謎のネットワークを駆使しているようだった。 「ルカの私見としては、究極魔法が完成していたら、どうなってたと考察する?」  期待を込めて訊いてみる。  シャーロットの話によれば、効果範囲は半径五キロだとかいっていたか――。  それだけの魔法を放てば、首都アルディストンにまで、多少なりとも被害が及んでしまうかもしれない。  仮に今回、ラグナロクが使われるとしても、それは試作型なので、アルディストンまでは届かないという試算なのだろう。
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