三章 『AL作戦』

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 部隊をいくつかに分断して、それぞれが一定の間隔を空けて、街を囲うようにして接近する。  街の入り口は数ヶ所しかないわけだが、律儀にそこを通って入ることはもちろんしない。 ここは元はアルディス管理下の街だ。いかにも堅牢そうに見えていても、手薄な箇所がどのあたりなのかの見当はついている。  その外壁に接近したところで、不意に肩を叩かれた。  こんなときに、またルカが何か話し出すのかと思ったが、振り返ってハンスは驚いた。 「久しぶりね、ハンスくん」 「あ……ああ……シェイラさん……」  思わずどきりとしたほどだ。彼女の象徴でもある眼鏡の、その奥の瞳が恐ろしく映った。  というのも――シェイラとは、あのデオグラストの任務地で別々になってしまって以来、顔を合わせることも声をかけることもなかったからだ。  あのとき、シェイラの指示を無視して、そのまま今という瞬間を迎えているのだ。 「お久しぶりです……」  挨拶もぎこちなくなる。  本来なら、あの任務の件を謝罪しておくべきだったのかもしれないが、やはり後ろめたさがあったために、ここまでそれもできずにいた。  もっとも、彼女は戦地を駆け回っていたはずなので、積極的に働きかけたとしても、叶わなかったのかもしれない。  いや、それは言い訳だ――。  どのみち、そのことを悔やむにはもう遅すぎるだろう。良くも悪くも過去はリセットして、ここから新しい関係性を築こうと決めた。 「今回はよろしくお願いします」 「あらあら、そんなに改まらなくてもいいわよ? これは任務なんだから。戦場に立てば、遠慮も礼儀も不要。あたしの部下はね、ただ結果だけ出してくれればいいのよね」  優しい言葉をかけられているようで、実はもっとも厳しいことをいわれているような気がした。
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