三章 『AL作戦』

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 要するに、四の五のいうより結果がすべてだという意味合いなのだろう。  ここでいうベストの結果とは、自走兵器の完全破壊とゼノビア兵の掃討、そしてアルデウトシティの奪還だ。  そのすべてを、シェイラはまっとうしようと考えているのだ――。  シェイラは、ゆっくりと外壁の一部分を目指して歩いていった。そして、自前の魔構機銃をかまえた。  何か――記憶が呼び覚まされたかのようだった。  シェイラもまた、魔構機銃の使い手だったことを思い出す。そしてデオグラストの兵器工場でも、その射撃によって工場の外壁を破壊したのだった。  シェイラの魔構機銃が、赤色の光を帯び始める。だんだんとそれは強くなっていき、やがて放たれた。  大地を揺るがすような爆発音と同時に、あたりに粉塵が舞った。それをすぐに、シェイラはウインド族の魔法を使って振り払った。  いちはやく、アルデウトシティ内へと潜入していく。 「さて、じゃあ、お互いまた生きて顔が見れるように――ちゃちゃっと頑張りますかね」  いつの間にか隣にいたルカがそういって、即座に爆破地点へ足を進めていった。声を返す間もなかった。  望むところだ。この戦争を終わらせるために、この厳しい戦いを乗り切るだけだ――。  そう決意して、ふと思う。  いったいいつまで、死線を耐え続ければ、終わりが見えてくるのだろう、と。  いまだゴールはまるで想像できないのが実情だった。  が、それを嘆いていても仕方がない。最善を尽くすしかないのだ。  いよいよハンスも潜入した。みなそれぞれ、与えられたエリアを制圧すべく、散々に進行していく。  ハンスにも与えられたエリアはある。街の中心から少し東よりの、この街でもっとも賑わっているとされる地域だ。ゆえにここへはより質の高い精鋭が送られる。  シェイラもそうだった。というより、シェイラがその部隊を率いているのだ。彼女へ報いるというなら、与えられたエリアを死守することが最低限だ。
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