三章 『AL作戦』

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 やがてシェイラたちの援護によって、交戦が激化した。互いに人員を削り合う消耗戦だ。  こうなるともう、生死には多少の運も関わってくる。  不運にも標的にされてしまう者、被弾してしまう者――その運命を、自らの意思で選び取ることはできない。  それは『ノアの意志』によって、決定づけられている事項だからだ。  それはたとえ、ルカのいう『人間の意志』があったにしても、抗うことのできないものだ。  そうならないことを祈りながら――ハンスはレヴォルツをかまえて突進する。白兵戦の中心で、できる限りの敵を斬り倒す。  もうどれほどの人間を傷つけて、また命を奪ったのかもわからない――。  無我夢中で戦ううち、敵の圧力が小さくなった。いや、すべて消え去ってしまった。  大地にひれ伏すたくさんの人間がいる。白い軍服と、灰色の軍服と、それから黒色の軍服だ。その三つが入り乱れた凄惨な映像が目の前に広がっている。 「アルディス軍の全員は、このまま進軍するわよ!」  シェイラの声がした。 「しゃあぁあっ!」 「おおおぉぉっ!」  それに続くように、威勢のよい声がどこかで轟く。  アルディスの軍服たちが――数は少し減ってしまったが、それでも勢いよく街中を駆けて行く。  その姿を、ハンスは意図せずぼんやりと眺めていた。そこに勇んで続くべきなのだが、乗り遅れてしまっていた。  というのも、身体のダメージはやはりある。いくら質の良い防御魔法に守られているとはいえ、まったくの無傷ではいられない。  外傷はなくとも体内にダメージは蓄積しているのだ。  ふと――すぐ傍で、蠢く何かをハンスは見つけた。  まるで魔物か害虫かのように、地面を蠢く何か――。  いや、違う――。  それは人間だった。灰色の軍服を――ハンスと同じ灰色の軍服を着た、ブレイバーナイトだったのだ。
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