三章 『AL作戦』

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「へえー、なかなか面白い剣」  シェイラがいう。まるで楽しむかのように。  こちらとしては、危うく致命傷を負いかけていたわけなのだが、そんなことにはお構い無しなのが良くも悪くもシェイラという人間だ。 「現代武器のひとつさ。皆さんも知っているだろうけど、ゼノビアにはオリハルコンという神器が存在しているからなぁ……。その神なる力は、武器に大きな力を宿すことができる」  神器――神鉱物『オリハルコン』か。  アイリスとイリスが七つの神器の一つとして残した未知なる材料。そういわれている。  その効能については、所有するゼノビア以外では知るすべはない。とにかく硬いとは聞いたことがあるが。 「オリハルコン……。ゼノビアの神器は便利なものばかりよね。オリハルコンしかり、ミュラルジルールしかり。あたしとしては、神書と呼ばれる『ミュラルジルール』を一度は読んでみたいものだけど」 「ふふん……。ミュラルジルールを解読できるのは、ほんの一握りの人間だけさ。それこそ、化神とかなぁ……。ミュラルジルールには世界の終末が描かれていて、その本当の意味を理解できるのは、やはり神に選ばれた人間だけだ」 「世界の終末……?」  思わず声が出てしまった。  神によって作られた神書に、終末が描かれているのか? 「終末だぞぉ? 終わり、さ。神は世界の終わりさえも予期しているということなのか? それは、俺なんかにはわからんことだがなぁ……」  相変わらず、ゆったりとした口調だ。  この世界の神といえば、それは『ノアの意志』――ノアに他ならない。もっとも、ゼノビア人にとってはそうではないのかもしれないが。 「まあ、いいわ。ここで神器の議論をしても仕方がないし、それよりさっさとあなたを倒さなくちゃね」  焦れたようにシェイラがいう。
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