三章 『AL作戦』

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「さっさとできることなら――」  エルヴェルは剣をかまえる。三人を相手にどう戦うつもりだろうか。  確実に勝つためには――究極をいうと、誰か一人ないしは二人がヤツの身動きを完璧に封じて、その無防備なところに残った一人が攻撃するという手もある。が――。  それをするには、正直にいって、信用が足りなかった。ハンスの信用が、ではなく、ハンスが彼女を信用しきれていない、という意味だ。  シェイラは勝利のためならば手段を選ばない人間だ。そんな彼女の前で、囮となるような行動はしたくないのが本音だった。  もちろん、アルディスの勝利は、ハンスにとって最大の目的だ。それは間違いない。  けれどそのために、自分の身が味方によって危ぶまれることには、まだ覚悟が決められていない――。  端的にいうなら、シェイラの攻撃に巻き込まれるのは御免なのだ。  それがブレイバーとして割り切れていないといわれるならば、反論の余地もない。甘さだといわれれば、それまでだが。  対面するルカにも、そういう行動を取るようすはなかった。ハンスと同じ考えを持っているのかは不明だが、彼とて囮役になるつもりはないらしい。  夢のあるルカのことだ。みすみす我が身を危険に晒す行動はしないだろうと思う。  ならばやはり、正攻法でやるしかない。それでも三人がかりなら有利なことに変わりはない。 「やっ!」  シェイラの魔弾が放たれる。エルヴェルは剣を使ってそれをはじく。  ハンスも飛び出した。とにかく尻込みしていても始まらない。ここではエルヴェルの足を止めるのが役割だ。なんにしても、トドメはシェイラに任せるのが確率が高い。 「だあっ!」  マナをまとった剣で斬りかかる。おそらくそれだけで、ゼノビア製の剣を上回れると思っていた。
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