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ルカにとって今、行く手を阻む敵はすなわち夢を阻む敵でもある。その障害を取り除くためなら、ルカは手段は選ばない。
エルヴェルを薙ぎ倒してでも、首を撥ね飛ばしてでも、生き残って前に進もうとするだろう――。
レヴォルツをかまえ直した。
ハンスとて覚悟はできているつもりだ。必要とあらば、命を奪うことも厭わない。
「んじゃあ、再開しよう。このままおしゃべりで時間稼ぎもいいけど、あんまり性分に合わないからなぁ」
エルヴェルの剣がうねる。地面をえぐるように暴れ回った後に、だらんと横たわった。
さながら解体された魚ようにも見える。背骨のようなワイヤーで、本体がつなぎ止められているのだ。暴れるときの無作為な動きも、水揚げされた魚に見えなくもない。
とにかく生物のように規則性がないのが厄介だ。
通常の剣であれば、腕の振りだけでもある程度のリーチが読めるものだが、このうねる剣はそうもいかない。触手のように自由で、無作為だ。
だが三人ならば――どこかで必ず綻びは表れる。すべての攻撃には対応できないはすだ。そしてその隙を、シェイラなら突いてくれるはず。
ハンスは足を動かした。
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