三章 『AL作戦』

32/82

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
 ルカにとって今、行く手を阻む敵はすなわち夢を阻む敵でもある。その障害を取り除くためなら、ルカは手段は選ばない。  エルヴェルを薙ぎ倒してでも、首を撥ね飛ばしてでも、生き残って前に進もうとするだろう――。  レヴォルツをかまえ直した。  ハンスとて覚悟はできているつもりだ。必要とあらば、命を奪うことも厭わない。 「んじゃあ、再開しよう。このままおしゃべりで時間稼ぎもいいけど、あんまり性分に合わないからなぁ」  エルヴェルの剣がうねる。地面をえぐるように暴れ回った後に、だらんと横たわった。  さながら解体された魚ようにも見える。背骨のようなワイヤーで、本体がつなぎ止められているのだ。暴れるときの無作為な動きも、水揚げされた魚に見えなくもない。  とにかく生物のように規則性がないのが厄介だ。  通常の剣であれば、腕の振りだけでもある程度のリーチが読めるものだが、このうねる剣はそうもいかない。触手のように自由で、無作為だ。  だが三人ならば――どこかで必ず綻びは表れる。すべての攻撃には対応できないはすだ。そしてその隙を、シェイラなら突いてくれるはず。  ハンスは足を動かした。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加