三章 『AL作戦』

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 そしてハンスは、自分の握るレヴォルツを見た。 「な!?」  それは想像すらしていなかった事態だった。レヴォルツの刀身に――亀裂が、ヒビが入っていたのだ。  まさか、ありえないことだ。  マナによる強化を得た魔装武器そのものが破壊されてしまうなど――。 「そうか――」  そこで理解した。なぜ、マナをまとって強化していたはずのレヴォルツ本体に、ダメージが及んでしまったのか――。  今のレヴォルツは、マナの付加を示す光が消えていたのだ。すっかりと消えてしまっている。それでは鍛えているとはいえ、ただの金属にすぎない。  魔法無力化を使われたのだ――。  不覚というしかない。  まとっていたマナを剥がされた。刃と刃がぶつかるその瞬間に。  だから、ただの鈍らに成り下がったレヴォルツは、エルヴェルのうねる剣の威力に、その硬度に、切れ味に、耐えられなかったのだ。オリハルコン製の超硬度の剣に。  さっきルカが武器を落としたのは、そういうことか――?  ようやく納得した。  あれはルカが瞬時に判断し、魔槍が破壊されるのを防いだのかもしれない。 「くそっ――」  もはや下がるしかない。このまま振り続けていたら、間違いなくレヴォルツは折れてしまう。  それだけは避けたかった。師から託された剣を再起不能にしてしまうことに躊躇があった。  まさか、レヴォルツが――。  破壊された衝撃だけではなく、長らく愛用し続けてきただけに、精神的なショックもないといえば嘘になる。  この戦場の緊張感が、否応なしにそれを幾分和らげているにすぎないのだ。
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