三章 『AL作戦』

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「おっと……」  エルヴェルはまた、ハンスから距離を取った。 「今度こそ、終わりにするわ」  シェイラの魔弾が地面に穴を開ける。 「邪魔だなぁ……。魔法は無駄だとわかっただろう?」 「ふふふ」  しかしシェイラは笑った。まるで勝利を確信したかのように。 「どうかしら? それはあたしの放つ魔弾をすべて受け止めてからにして欲しいわね」 「当然さ」  魔法無力化を持つエルヴェルに魔弾は通用しない。  しかしそれにしても――エルヴェルはこの戦いだけですでに、何回もあの能力を行使している。  そこはハンスとは違う。ハンスの場合、消耗を防ぐためにも、一回の戦闘ではせいぜい二回の発動が限界だ。 「その能力――さすがに無限には使えないでしょう?」  シェイラが鎌をかける。  同じ疑問だった。ハンスもそう思う。無限ではないはずだと。 「さあてね? 一ついえることは、ゼノビア軍が勝利するまでは、俺は手を緩めないということだけさ」  読めない回答だ。  ただ一つ思うのは、エルヴェルにはまだ余裕が見える。ということは、一度や二度で消耗することはないらしい。  そこは個体差と認識すべきだろうか。それとも、訓練によって力をより引き出すことができるのか――。  それとも彼も、かなり無理をしているのか――。  どちらにしろ、エルヴェルがハンス以上の使い手であることは間違いない。 「あっそう。それなら、無理やり引き出させるだけ」  シェイラは魔弾が雨を降らせにかかる。  暴走ともいえるほどに。インターバルを置くことなく撃ち続ける。
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